チーム医療は質の高い治療や支援を提供できるとあり、多くの医療機関で実施されています。そのなかにおいて、スムーズかつ良質な医療提供の実現に大きく貢献できる「特定看護師」の存在が重要視されるようになりました。看護師に求められる役割とともに、現場での裁量について見ていきましょう。
ある患者さんに対して、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、検査技師などが、それぞれの専門性を活かしつつ治療にあたる「チーム医療」は、治療や療養生活を総合的に支援するシステムとして医療現場では一般的になってきました。
なかでも、看護師の存在はチーム医療のキーパーソンだと言われています。その理由は、看護師が診療や治療に伴う業務から、患者さんおよびご家族への傾聴や療養生活の支援まで幅広く対応しているからです。治療に関する業務を遂行することでチームに貢献しつつ、患者さんの立場に近いスタッフとして精神面の支えになることもあります。
また、医師が患者さんに行う病気や治療の説明の理解度を測ったり、補足したりもします。このように治療に携わりながら、患者さんやご家族の気持ちを汲み取り、それをチームに報告して一層良い治療につなげるという橋渡し的な役割も担っているのが、看護師がキーパーソンと言われる所以です。
チーム医療では、各メンバーがそれぞれの専門的知見を尊重しつつ、それらを統合してより高い医療を提供するということを追求しています。その中において看護師には、前項の内容に加えて、専門性のある水準の高い看護ケアが求められる傾向にあるようです。幸い、近年は看護系大学院の整備や専門的能力を育成する機会が充実しており、看護教育そのものの水準が高まっています。
そこで言われているのが、看護師が高い能力を最大限に発揮できる環境づくりの必要性です。その一つとして、安全性の確保を留意したうえで看護師が自律的に判断する、実施可能な行為の範囲を拡大するといった「看護師における特定行為」が注目されるようになりました。この特定行為を行える看護師を「特定看護師」と言い、チーム医療において大きく期待されています。
看護師が「特定行為に係る看護師の研修制度」を修了すると、「特定看護師」として活躍できます。これまで医師の裁量の範囲だったことが、看護師の判断で行えるため、場合によっては治療が迅速に行えるようになりました。
また、特定看護師の存在で、チームや職場全体の意識も向上すると専門家は言います。チーム医療がスムーズに行えるうえ、全体のレベルアップに繋がるのであれば、患者さんにとっても心強いことでしょう。
さらには、医師しかできなかった行為が特定看護師としてできるようになると、職場の財源節約に繋がることも期待できます。